The Student Dayははっきりいってつまらなかった.

まあ,それもある意味当然と言えば当然で,MSが「学生」という市場に対してこういう風にアプローチしますよというのを見せるために開催されたわけで,中学の3年間と高専の5年間とでプログラミングや計算機の世界にそこそこ漬かってきて,さらに04年の中ごろから実際にそれでお仕事しているという人は最初から対象外だったのだから.

全体としてはつまらなかったTSDだけども,その後のSpoke交流会も含めると個々の要素では考えさせられるものがいくつかあったので忘れないうちにいくつか.

####書きかけの思考 #####「一般人・逸般人」の境界

プログラミング好きとかコンピュータ好きのコミュニティにおいて,異分野からの「一般人」とどう付き合って行くか.という話.

前回(TechEd)のときも,今回のでも,theSpokeユーザとして,非情報(工学)系専攻の学生が何人かいた.彼らは経済(系)だったり,化学(系)だったりといろいろなのだけど,共通していたのはコンピュータをどうにか自分の分野で活用する方法は無いだろうかと模索する思いだった.

まあ,その思いがいくらか化粧された建前であったとしても,コンピュータを使うと言う方向で面白いことが出来ないだろうかというのは本音ではないかと思う.

こういう,コンピュータをーただの計算機や機械的作業をさせる機械としてではなくー知識や思考のための道具としてのー大げさに言えばAlan.Kayの言うところのDynaBook的なー使い方を模索し実現しようとする人たちは計算機の性能があがるにつれてどんどん増えてくると思われる.

そんな彼らと,僕らのような逸般人ではバックグラウンドが当然異なるし,コミュニティの性質も異なるわけで,なかなか簡単には混ざりはしない.混ざっていこうとする意思が双方に無ければ,ウマく行かないので,theSpokeなり,他のSNSsなりで機運を盛り上げて行かなければならない思う.

あるいは,完全に混ざらなくとも,互いの得意分野とその能力と巧くAPI化することでヒトの機能だけのつながりができるかもしれないが,それはそれで個人の尊厳にを否定することになるのであまりよろしくない.

####次の世代/次の次の世代 端的に言えば,「今の中学生は恵まれてるのかもしれない.だが,恵まれすぎなのかもしれない.」と言う話.

TSDの会場に,あるいはSpokeの交流会にいた最年少クラスは13才くらい.彼らはその年のときからthe Internetがあり,.Netがあり,Spokeがあり,ImagineCupにTSDがあり,そしてーおそらくは親に買ってもらったであろうーパーソナルなコンピュータがありと ** コ ** の方向に進むには,ー少なくとも僕がその年のとき,そして当然ながら古川氏の年代がその年のときに比べてー十分な環境がある.

ただ,あまりに簡単に十分な環境が手に入ることは,一方である種の ** 覚悟 ** なき者を量産することにもなる.そういう「子」を量産しないようにするのは舞台を用意している「大人」の責務でもあるので,慎重にならなきゃいけないとも思える.

####いかにして最初の「殻」を破らせるか

「どうやって世界に対しての最初の一歩を踏み出させるか.」

OSS界隈でも出た「なぜ学生はOSSに参加しないのか」というのと結局は同じところに帰結するとおもうが,

ソの世界に足を踏み入れることに何か魅力がなければ,人は行動しない.

TSD自体のコンセプトは,「まずはプログラミングをはじめてみよう」,「そして,世界に出て行こう」ということだと思う

だから,スキージャンプペアの真島さんをゲストで呼んで「技術よりもアイデアですよ」みたいな話をしてもらったり,12,3万くらいで手に入るロボットのキット(KHR-1)のデモをして見せたり,XNAの説明に新入社員の人にさせてみたり,会場内から適当に選んだ子にC#でのプログラミングをさせてみたりと,あの手この手で攻めたのだと思う

つまり,「すごいことなんて無い.誰にだってできるさ」という視点を与えることで,「自分にもできるかもしれない」という錯覚を起こさせようということである.

だが,僕はそういう方法が,良いと思えない.むしろ,もっと漠然とー小さい子供の感情的な飛行機のパイロットへの憧れのようなー憧れを生じさせるようなカリスマ性とも言うべきモノを見せるべきだったと思う.